気に入ったもの2023

こんばんは。うかうかしていたら年が明けてしまった。2023年に読んでよかった、聴いてよかった、観てよかったものなどを紹介します。

読んでよかった📚
「日曜日の住居学」宮脇檀
 最近友達になった人から、宮脇檀の「旅は俗悪がいい」という本をお勧めされて読んだら面白かったので、宮脇檀の本を次々に買ったり借りたりして読んだ。そのうちの一冊。この方は建築家で、個人の住宅を多く手がけた方なんだけど、文才もあって、住宅に関する気さくな文章が読みやすい。彼の中で「こうなりたい」というかっこよさが明確にあって、それを演じているというか、それになろうとしているんだけど、それが取り繕うとか虚勢を張っているわけではなくて、「こう思うからこうしたい」という意思を感じて、そこが好きだった。彼の他の本では設計図とかプランをどんどん載せていて、そこには「このときはこう考えてこう設計したけどそれは間違いだった」などと書いてあって、そういうのって虚勢を張っているだけの人にはできないことだし、自信がなければ自分の手の内を明かすようなことをできないので、自分の仕事に誇りを持って毎回取り組んでいるんだなと思った。この本はエッセイ集なんだけど、概ね彼の主張は一貫していて、「自分の頭で考えましょう」ということが書いてある。でも全然説教くさくなくて面白いですよ。

「ミシンと金魚」永井みみ
 2023年に読んだ本の中で一番衝撃を受けた。認知症の女性が主人公なんだけど、その女性の視点で物語が書かれている。レビューなどを読まずにとにかくまず本を読んでほしい。素晴らしかった。

「ストーナー」ジョン・ウィリアムズ 東江一紀訳
 「ミシンと金魚」を読んだあと、人間の物語みたいなものを読みたいなと思って読んだ。なんでもない人間と言ったらそれまでだけど、なんでもない人間、後世に語り継がれるような、伝記になる人間でなくてもその人固有の人生があるし、その人だけの喜怒哀楽、その人の周辺の人たちとの有機的に連続した関係があって、それを丁寧に書いた小説です。

「とんこつQ&A」今村夏子
 夏子〜〜〜〜〜〜〜!夏子の小説はじっとりとして不気味なはずなんだけど異様にさらっと自然に書いてあってそれが本当に怖い。ありえないような描写でも「こういう人いるよね」という現実味がある。小説でしかできないことを小説で見せてくれる。

「脱文明のユートピアを求めて」リチャード・T・シェーファー、ウィリアム・W・ゼルナー著 松野弘監訳、徳永真紀、松野亜希子訳
 アメリカの宗教について、アーミッシュからサイエントロジーまで種々解説している丁寧な本です。665pあるので全て読むのは大変だけど、興味のあるところだけでも拾い読みするといいですよ。アメリカの映画やドラマを観る人であれば、前提知識としてこれを読んでおくとより深く理解できると思う。

「角筆のみちびく世界 日本古代・中世への照明」小林芳規
 みなさんは角筆(かくひつ)についてご存知ですか?私はこの本を読むまで知りませんでした。硬くて先の細い棒などにインクや墨を付けずに、紙を凹ませて文言を記載するという筆記方法です。貴重な海外の文献に書き込みする際や、講義中などで墨や筆を使って書くような暇がない場合にささっとメモするときなどに使われたりしたらしい。それゆえ口語的な表現も見られ、当時の言葉遣いを推測する資料として貴重らしいが、なにせ紙を凹ませるだけなので後世の人が一見しても何か書いてあるとは分からず、資料の数が少ないらしい。面白く読んだ。

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」村上春樹
 ある出来事が起こってもそれには必ず終わりがあって、終わりが来ることを受け入れないことができるにしても、それを受け入れるべきだし、自分の責任において受け入れないといけない。いけないこともないけど、大きな流れというものはある。大きな流れに対する小さな人間の些細な行動でも、やれるだけやることは大事なのかもしれない。救いがないように思えても誰かに希望を託すことはできる。それが非常に個人的で、相手がその希望を託されているとは知らないとしても。偉大なものや、強い意志に惹きつけられて、それらに翻弄されているとは全く思わず、自分の意思で自分の人生を決定しているように思っているピンクの女の子、で、結局この人何もしないし。何もしないこともないけど、何もしない人の皮肉?またいずれ読み返したいと思う。

「セロトニン」ミシェル・ウエルベック 関口涼子訳
 ウエルベックは性欲が強くて彼の小説では彼の分身みたいなおじさんが20代前半の女性とセックスしまくる描写がとにかく多いんですが、なんと!今作では性欲がなくなっています。前半は日本人の若い恋人がうざすぎる、という描写が延々続くので日本人の私としてはやや疲れた。途中、精神が極まって撃つか撃たないか、みたいなところで物語の最高潮を迎える。疲れた貴族も良かった。ていうかこの小説は全体的に疲れている。ウエルベックの小説の主人公は頭がよくて金持ちで性欲の強いおじさんがうじうじうじうじしていて差別表現とかも全然あるし無理な人は本当に無理だと思うんですが、私は好きな作家です。

「百年の孤独」ガルシア・マルケス(副読本として「百年の孤独を歩く」田村さと子
 読書会の課題本として読んだ。荒唐無稽なのにいかにもさらっと描いてあるから実際に起こったことのように錯覚するし、実際に起こったことなのかもしれない。ガルシア・マルケスの長い友人である田村さと子さんの本も理解に役立った。読んだあとさと子さんの本を読むと読まないとではずいぶん理解に差が出ると思う。また、友達に勧められて「ガルシア・マルケス東欧を行く」という本も読んだんだけど、そういえばガルシア・マルケスってジャーナリストだったんだよね、と思い出し、百年の孤独も後から調べるとだいぶ実在の出来事が盛り込まれていて(バナナ農園の労働者の虐殺とか)、だから全部彼の中では実際に起こったことなのかもしれない。これがベストセラーになるってすごいですよ。また10年後とかに読みたい。

「ヘルシンキ 生活の練習」朴沙羅
 社会学者の朴さんが日本からフィンランドへ二人の子供を連れて移住したときの様子を書いたエッセイ。良かった部分を抜粋する。
 p20「子どもはときに、自分を傷つけるようなことをしてしまいますよね。でも、彼らは、それを通じてしか学べないときがあるのですよ」(朴さんの子供が怪我したときの救急隊員の言葉)
 p122 十一月の初めごろ、晩御飯を食べていると、ユキ(雷鳴注:朴さんの子供)が「同じクラスの男子が、ユキがフィンランド語で話そうとすると、真似すんねん。それがめっちゃ嫌やねん。ほんで、その子は、ユキだけじゃなくて、他の子の真似もして嫌がられてんねん」と言ってきた。あーそういううざい男子いるよねー、あんまり度が過ぎるようやったら睨んどきー、と言いつつ、少し気になっていた。
 その数日後、その男の子(仮にエリオットとする)のお父さんが、私に、保育園で話しかけてきた。「うちの息子がおたくのお嬢さんをからかっているらしくて、申し訳ありません。やらないように言ってはいるんですが。多分、うちの子は、少しおたくのお嬢さんに興味があるんだと思うんです。ただ、それをうまく言えないから、嫌な気分にさせているのだと思います」。私そういう「アホな男子」って大っ嫌いなんですよ、と思ったけど、さすがに口に出すわけにいかないので「ハハハ、まぁ子供同士の事ですから」と、わりと意味不明なことを言った。
 それから一週間ほど、私はエリオットのことを忘れていた。あるときふと思い出して気になったので、ユキに「最近、エリオット、どう?」と質問したら「最近は真似して来いひん」。何があったんだろうね、と言ったら「お話し合いした」。「終わりの会で吊るし上げ」みたいなやつだろうか、と思ったら「クマとウサギの絵本を読んでおしゃべりした」。それだけ? クマとウサギの絵本って何?
 気になったので、次の日のお迎えのときに、もう一人の担任のロッタ先生に、何をしたのか質問してみた。すると、ロッタ先生はこう答えた。
「私たちは、物事を笑うことと、人を笑うこととは別のことだと教えました。前者は友達と楽しめるが、後者はそうではありません」
「エリオットは友達を楽しませる技術を知り、それを練習する必要があります」
「そのため、自分のやっている事を意識化する方がいいと私たちは考えました。だから、クマとウサギのお話を読み、友達を嬉しい気持ちにする方法に何があるのかを話し合いました」。
私は、このロッタ先生の言葉を聞いて園庭で驚いてしばらく言葉が出なかったのだけれども、ロッタ先生はそれに気づいただろうか。
「男の子はやんちゃ/アホだから、〇〇しても仕方がない」という説は、その男の子にとっても害があると思う。それに、〇〇された側の人間が嫌な気持ちになったとしても、その言葉で封じ込めてしまいはしないか。でも、それを批判して、その次はそのやんちゃな子に何をしたらいいのだろうか。
叱りつけるのではなく、淡々と教えればいいのだった。物語を笑うことと、人を笑うこととは別のことだ。世の中には友達を楽しませる技術がある、だからそれを練習しよう。つい忘れてしまうけれども、何事も学習と練習が大事なんだな。 
引用終わり。かなり長い引用になってしまい問題がある(引用する場合は引用した箇所より多くその部分について語らないと著作権を害するみたいな判例を過去に読んだことがある、うろ覚えですが)。本当はもっと引用したいんだけど。ただの海外移住エッセイじゃなくて、フィンランドの歴史というか地理的要因による考え方の違い、教育環境や生活環境について書かれていてとても面白かった。

「エンデュアランス号漂流記」アーネスト・シャクルトン 木村義昌、谷口善也訳
 星野道夫さんの写真展に行ったとき、愛読書として紹介されていて読んだ。
 シャクルトン船長率いる二十八名の隊員は南極横断を目指して航海するが、彼らの乗ったエンデュアランス号(木造!)は南極大陸に着く直前に流氷に砕かれ、沈んでしまう。一行は流氷に乗って南極海を漂流し、無人島に辿り着く。船長含む六名は、救命ボートで無人島から1500キロメートル先の捕鯨船の駐屯している島まで必死の航海をする。航海は成功し、捕鯨船の乗組員やチリの船の援助を受け、いくども失敗しながら仲間を残してきた無人島へ向かい、一人も欠けることなく救助した。実話だそうです。シャクルトン船長の観察力と決して諦めないタフな心と思いやり、隊員たちの協力とユーモア。船長とはこういう人がなるんだな。救命ボートに乗っているとき、空が晴れてきたと思って隊員に声をかけた瞬間、天まで届く真っ白な高波だった、というところで手に汗握り「助かれ!助かれ!」と思ってしまった。とても感動しました。

「ポストコロナのSF」日本SF作家クラブ編
 今とても勢いのあるSF作家たちによるポストコロナの短編集。柴田勝家「オンライン福男」、津久井五月「粘膜の接触について」、吉上亮「後香(レトロネイザル) Retronasal scape」.、樋口恭介「愛の夢」などが好きでした。

観てよかった(映画)🍿
「パリ、テキサス」ヴィム・ヴェンダース 1984年
 よかった、最高、百万点。あらゆるカットでの構図がかっちり決まっていて、人によっては構図が良すぎるのが気になるんじゃと思った。ハンター…。ラヴァシュキリをお弁当に入れているフランス人の奥さん。不器用だけど不器用なのわかってるけど好きとか、愛情とかそういうのどうしたらいいか分からないし、どうしたらいいか分からないから避けるしかないけど、でもそれしか方法を知らないというだけだし、それに直面するまでは自分がそうだって分からないし。観終わったあと気持ちをどう整理したらいいか分からなくてうろうろうろうろ一時間くらい散歩してしまった。

「親密さ」濱口竜介 2012年
 平野玲さんが発光していた。最初は発光してなかった。でも後半からもう私の目が劇中の平野さんをずっと追っていて、平野さんから目が離せなくなった。平野さんが発光しているのは私の視線を反射して光っているの?私以外の他の人には平野さんは光ってないように見えるのかどうなのか知りたい。もしかしたら恋をするってこういう感じなのかもと思った、いや、恋っていうか、目が離せないみたいな、好きの前段階みたいなのってこういうことなのかもと思った。しかし私はこの映画のことを考えるとき以外では平野さんのことを思い出しもしない。これって何?これが俳優の力?ラストシーンすごくよかった。劇中のセリフの「卑怯者」も。

「ソナチネ」北野武 1993年
 これからこういうことが起きますよ、というフリをしてから回収するまでが早くてテンポ良い。ムカついたら殴っちゃうし、いらねーと思ったら殺しちゃう爽やかさ。そうするほうがいいと思うからそうするけど、もうそういうことを思ったりしたりするのに飽きていて、強引に行かされた沖縄でだんだん追い詰められてついにやるべきことを見つけて、それをやり通して、だけどその後に起こることはもうわかってるから自分で幕を引く。いらないシーンがなくて研ぎ澄まされた映画だった。また観たい。

「しとやかな獣」川島雄三 1962年
 詐欺で生計を立てている家族の話で、ほとんどアパートからカメラが出ないのにも関わらず、実験的なかっこいい構図の連続で腰を抜かした。夕日のなかダンスをするきょうだいのシーンが美しい。登場人物のことをクズとか非道とか言ってしまえばそれまでだけど、みんな生きようとしているだけなんですよね。この監督の他の作品も観ようと思った。

Podcast🎧
勝家都心のカルマラジオ
 SF作家の柴田勝家さんとシナリオライターの各務都心さんが配信されているネットラジオ。Spotifyにもあるけど途中までしかないので、全て聴きたかったらYouTubeで。お二人は大学の文芸部で切磋琢磨し合った仲だそうで、創作を生業とするお二人ならではのおしゃべりに仲良しのゆるさが加わって心地良い。時々呼ばれるゲストが豪華。

コスメ💄
ADDICTION アイシャドウパレット
 なんとなく限定の103 under the starlightを買ったら粉質の軽さ、上質さにうっとりして腰が砕けてしまって、追加で003 marriage vowと単色のカラーを買ってしまった。しかしやっぱり103が良かった。上品なラメ。

シュウウエムラ ルージュアンリミテッドアンプリファイドラッカー
 香りがきつくなくて使いやすい、発色もすばらしい。なにより見た目がかっこいい。BG945を買ったけどもっともっと欲しくなってる。唇一個しかないのに。

コフレドール ネイルカラー
 速乾だし発色もいいし悪いところが一つもない。5色買ったけど全色欲しい。なぜなら指は10本もあるのだから…。

オルビス ヘアミルク
 これすっごく気に入って今年10本くらい買ってそのうち半分くらいは友達に配った。それくらいお気に入りの商品。私は面倒くさがりなので洗い流さないヘアトリートメントが楽で好きだから今まで色々試したんだけど、その中でもこれは値段と効果のバランスがとてもいい。詰め替えがあるのもいいですね。

ウォンジョンヨ ダイヤモンドライナー
 かわいいよ〜〜〜〜〜これを目の下に塗るだけで元気出る!

その他🐬
TEIJIN あっちこっちふきん
 あっちこっち水切りマットと食器用布巾を使っています。洗った食器をマットに一旦置いて、食器洗いが終わったらふきんで拭いて食器棚にしまう。マットや布巾は洗濯バサミに引っ掛けておくとすぐ乾く。拭き跡も残らないし買って良かった。

・電子ノギス
 3000円くらいの安いもので、どこで買ったかも忘れちゃったんだけど、たいへん便利だった。今年は棚を作ったりすることが多かったので、色々なもののサイズをサッと測れて、文字盤にサイズが表示されるのが便利だし楽しい。日頃はペン立てにさしていてすぐ取り出せるようにしておき、思い立ったときすぐものの厚みを測れるようにしている。

無印良品 歯磨きタブレット
 歯磨き粉がタブレット状に固められていて、口の中でがりがり噛むと発砲して歯磨き粉になるという商品。外出先で歯を磨きたいときとか旅行とかにいいと思う。歯を磨けないときでもこれをがりがり噛んでなんとなく口をゆすいでおくとさっぱりして歯を磨いた気になれる。効果があるのかどうなのかはわからないけど、さっぱりはする。

以上です。去年の日記を読み返していたら前半は結構落ち込んでいて、「どうせ失うものもないんだからギャンブルで全部スってめちゃくちゃに飲んで全部終わりにすればいいし」みたいなことが書いてあった。その後持ち直してギャンブルをせずに済みました。危なかった!しかし予断は許されません。最悪が0、最高が10だとしたらまだまだ4くらいの感じです。これってどうなの?毎日楽しいけど徐々に追い込まれていってる気がする!今年はなんとか6くらいになれたらいいと思っています。今年もよろしくね。

2023/4/1-30

私はある日突然なにかに熱中し、その後急激に熱が冷めてそんなことをしていたことすら遠い過去のように忘れてしまうことがあるのだが、4月は野菜の飾り切りや魚を捌くことに凝っていて、それは5月末現在もまだ継続して楽しんでいる。私は生まれつき器用なタイプではないけれど、得意ではなくても好きな作業というのはある。魚を捌くのとか野菜の飾り切りをするのとか、DIYをする前に割り箸とかプラスチックストローとかで簡単な模型を作ったり、厚紙を切って組み立てたり、包丁を研いだり、そういう一人でできる人間以外のものとのコミュニケーションみたいなことがすごく好きだと感じる。

友達とピクニックに行って、あたしみたいなヤバ老害予備軍のこと誘ってくれてありがとね…という気持ちと、私って愉快な奴だからなという気持ちの両方があって、あとからその日の写真を送ってもらったら私たちめちゃくちゃ楽しそうにしてた。友人関係かけがえないよ(七五調)。

それで、あんま飲みすぎるとお酒の味がわからなくなるということがわかった(ということは何度もわかっているが、実際わかっていないということがわかる)。お酒に対して敬意を持っている(持っていたい)ので、なるべく味がわかる状態でいたいし、味がわからない状態になったらもう飲むべきではない、というか、味がわからなくなる状態になったらわからなくても良いもの以外を飲むべきではない、いや、皆さんの言いたいことはわかるが、概ねそのようなことを思った。てかジュース飲めばいいんだよ。ジュース美味しいからさ。

最近私はジュースを飲んでいるんだ。ジュースいいじゃん。これ平安貴族に飲ませたらのけぞって驚くよ。美味しい果物を絞った飲み物が1リットルのパックで数百円で売っている現代?おかしなことです。あんなにイキっていた藤原道長でさえできなかったような贅沢を私はしているのだよ。欠けたるものもなしと思えば?ふーん、この美味しいジュース、しかも複数の美味しい舶来のジュース毎日飲めて、毎日あったかいシャワーを浴びれて、毎日湯船に浸かろうと思えばものともなし、コーヒー、おい道長、コーヒーって知ってる?知らないだろうな〜道長はケニアやグアテマラなんて聞いたこともないし、ましてやコーヒーなんて知るはずもないもんな〜とか言っている(言わない)。まあ道長の時代にケニアもグアテマラもない(国としては)んですけどね。道長が過去にめちゃくちゃイキっていたおかげで私のような人間にも片腹痛しとか思われてしまっている。ただ私は道長たちが着ていたありえん上等の衣服を着ることはできないからそれは羨ましいが、毎日お風呂入れないのは嫌だから現代に生まれてよかったよ。長くなりそうだからまた今度ね。

2023/3/1-31

セイロンティーがわからぬまま3月が終わった。
紅茶のことがよく分からないので、3月はいろんな産地やメーカーの紅茶を飲み比べて楽しんでいて、アールグレイとダージリンは好きということが分かったがセイロンはいくら飲んでもよく分からない。ビールで言うとアサヒのマルエフみたいな味で、マルエフは飲むと美味しいはずなのに飲み終わったあと一切記憶に残らない、しかしガブガブ飲んでしまう酒で、セイロンティーもそんな感じがした。

私は人相が良いのでよく人に道を訊かれるし、全身黒でも放火魔みたいにならない。

暇だと思うとき常に本を読んでいたい。しかし私の暇というのは信号待ちをしているときとか自転車に乗っているとき、階段を上がったりしているとき、散歩しているときなど、おそらく外界からなにかを受け取る力が弱いから暇だと思うのだった。だってカメラを持っているときに散歩していたら暇だとは思わない。風景をじろじろ見てシャッターチャンスを探しているのだから。だけどそうではないとき(シャッターボタンに指をかけていないとき)は意識がオフになり、風景を見なくなって脳が暇になる。そして本を読みたくなるのかもしれなかった。
こういうとき小説家の朝吹真理子さんのことを思い出す。朝吹さんは休暇のときいつも同じ京都の旅館に泊まるという。なぜなら道中でさまざまな情報を浴びるので、旅館に行くだけで疲れてしまうらしい。また、旅館も常に同じ状態ではない(季節や応対する人や食事も違う)ので、そこでも情報が過多になるから、場所だけでも同じにして情報量を抑えないと休めないらしい。私はそういう受け取る力が弱いのだと思う。
と、書きながら、疲れているときは音や光がいつもより鋭敏に感じられるというか、音や光そのものの情報よりも、それらの輪郭線が濃く立体的に形となって物質のように私を圧迫することがあるなと思った(ドラえもんのコエカタマリンのように)。風景は音や光などの独立した存在のように際立つことがなく、私にとってはただ川の流れのようにどこからかどこかへ流れて過ぎ去る何かという程度のものでしかないのかもしれないが、音や光が際立っているのは受信装置の違いというか、カメラで言えば撮像素子の違いでメーカーの個性が出るみたいなことなのかもしれない。

知り合いから超いらないものが大量に送られてきて、いらないものが家に大量にある状態が不愉快なのですぐに全て捨ててしまった。1秒でも私の家に留まっていてほしくなかった。家が狭いっていうのももちろんあるけど、私の好きじゃないものが私の所有物である状態から脱したかった。捨てながら、私はお金に対しても似たような姿勢をとっているなと思った。

< この期間に読んだ本 >
📕永井みみ「ミシンと金魚」
 現時点での今年ベスト。誰もが目を背けている認知症老人の主体から語られる人生。我々はあらゆる人間に人生があることを(考えるのが面倒だから)無視しているけど、ここに生きて暮らしている人がいるんですということを、そんなことを書かずとも感じさせてくれてぐいぐい引き込まれる。全員読んでください。
📕ジョン・ウィリアムズ「ストーナー」東江一紀訳
 「ミシンと金魚」を読んで、もっと人間の人生を感じたくて読んだ。もう誰からも忘れられてしまったような人にだってその人の一生分の人生がある。人間一人の人生の膨大さ。
📕ダニエル・L・エヴェレット「ピダハン」屋代通子訳
 ピダハンというアマゾンの奥地に暮らしている先住民族にキリスト教を伝えようという伝道師が書き手なんですが、まずこんな奥地に(家族ごと)引っ越してきてキリスト教を布教しようって思うところがもう私のような雑な信仰を持つもの(神は信じていないけれど日本の習慣という信仰がある)にとっては途方もなく、また、ピダハン語という極めて難解な言語を「聖書をピダハン語に翻訳する(そしてキリスト教を伝道する)」という使命を貫くために死にものぐるいで勉強していて、その姿勢はまるで理解できないけれどそのエネルギーにうたれた。ピダハンは目に見えるものしか信じないので、伝道師が「イエスはこのように言われた、○○と…」という話をしたときピダハンは「じゃあ伝道師はイエスがそう言っているのを直接聞いたのか?そうでなければイエスは嘘だ。ピダハンは信じない。」などというやり取りがあり、それもまた面白い。彼らがどうなるのかはぜひ本を読んでみてほしい。この本を読んだあと、後日談の後日談も面白いので調べてみてください。読んだあと調べてくださいね。
📕今村夏子「とんこつQ&A」
 フレドリック・ブラウンのショートショートを日本に置き換えてより湿度を高めたような、使ったことのない柔軟剤の香りが服からしてきて何回洗ってもそれが全然取れない、別に嫌じゃないけど気味が悪い…みたいな不気味さが夏子にはある(夏子と呼ぶタイプのファン)。小説にしかできないことを見せてくれる人はあまりいない。
📕リチャード.T.シェーファー「脱文明のユートピアを求めて」
 この本全然知らなかったのですが、アメリカの宗教について知るにはすごく良い本でした。恥ずかしながらシェーカー教徒とクエーカー教徒のことを同じだと思っていた(シェーカー教の教祖はもともとクエーカー教徒だったが)し、アーミッシュやジプシー、サイエントロジーまで幅広く取材してあって、前提知識として読んでおくとアメリカ映画や小説をもっと楽しめると思った。

2023/2/11-28

10年前から私に執着している人が一人いて、無碍にできない関係なので面倒だな…と思っていたら、最近もう一人私に執着する人が現れてしまって、その人もまあまあ無碍にできないので、ほとほと疲れてしまった。けどもういい、二人のうちの一人とは永遠に関係を断つことにして、そのせいで別に仲の悪くない何人かとも関係が切れることになるけれど、それはもう仕方ない、さよならみんな…。とかなんとかしていたら結構疲れた。新陳代謝と言えなくもない。

会社の偉い人が「派遣社員は道具と一緒、使えなくなったら替えるだけ」と言っていて、本当にこんなバカな悪役みたいなことを大きな声で言う人いるんだ、と驚いた。いろんな人にいろんな側面があってこんな人でも家ではいいパパだったりするのかもしれない。ときどきどうしようもなく話が通じなくて口を開けばパワハラと差別みたいな人でも結婚指輪をはめているからこの世が分からなくなる。そういう人のことを理解する(とまではいかなくても知る)ためにももっと物語を読みたいと思った。

chatGPTを仕事で使い始めたところまあまあ助けてもらっており、自分の今やっている仕事はもう終わったと思った。終わったというか、今の社会ではまだ数年〜十数年はなくならないだろうけど、でも確実に未来にはなくなる。そう思ったらやる気がなくなってきちゃった。きっともうすでに子供たちの間では「AIに聞けば何でも教えてくれるのになんで勉強する必要があるの?」という流れはあって、そういう人たちが今後社会の多数派になる。それにどう抗うか、自分がそうならないようにするには、と言いつつやる気なくなってるし。教えてもらって「ふーん」と思うのと自分で調べて納得するのでは体感は全然違うけれど外から見たら結果は同じになる。いかに自分で考えることを放棄しないか。サボらずにいるのは難しい。

この期間に読んだ本
📕日本SF作家クラブ編「ポストコロナのSF」ハヤカワ文庫
 SF作家数十名によるポストコロナについての短編集。津久井五月「粘膜の接触について」、立原透耶「書物は歌う」、吉上亮「後香 Retronasal scape.」が良かった。
📕フレドリック・ブラウン「真っ白な嘘」越前敏弥訳 創元推理
 星新一が影響を受けたらしいひとらしいと聞いて読んで納得した。ショートショートミステリの短編集。気味の悪い嫌な汗をかくような話があったと思ったら、この登場人物には幸せになってもらいたいと願うような救いのある話もあって楽しんだ。ほかの短編集も読んでみたい。
📕ファン・ジョンウン「続けてみます」オ・ヨンア訳 晶文社
 この本の他に読みたい本があったらこの本を脇において読むのをやめてしまうような、すごく面白いというわけでもなくすごく続きが気になるというわけでもないけどなんとなく他に夢中になれるものはないからという理由で読んでいるような、それぐらいの熱量なんだけど、でも続きが気になって結局最後まで読んでしまった。不思議な本。
📕徳川夢声「夢声戦争日記(一)」中公文庫
 1900年代前半からほぼ50年くらいの間活躍した漫談、ラジオDJ、作家などで活躍した徳川夢声という人の日記。あけすけで、好奇心旺盛で、しゃべりがうまいからなのか文章も面白い。その中に時々「帰途、仲店で佃煮を買う。佃煮の汁、カバンの底を流れたり。」などと書いてあって笑う。
📕中村弘樹「失踪の社会学 親密性と責任をめぐる試論」慶應義塾大学出版会
📕ジャコメッティ「エクリ」矢内原伊作、宇佐見英治、吉田加南子訳 みすず書房
📕金原ひとみ「パリの砂漠、東京の蜃気楼」集英社
 webの連載を楽しみに読んでいたけど、いつからか読むのを忘れていた。随分前に本にまとまっていたようなので読んだ。この人は10代の頃からずっとずっと書き続けているのがすごい。常に痛みを伴って書いている。
📕プルースト「失われた時を求めて 第一遍「スワン家のほうへⅠ」」高遠弘美訳 光文社古典新訳文庫
 主人公の頭の中をずーっと説明してくれる、しかもそのときの風景や天気、洋服、家族の様子などを全て書いてあるので全然話が進まないが、私はそういう話が大好きなので嬉しく読んでいる。全14巻らしいが今年中に読み終えたいと思っている(けど、好きなタイプの本なので読み終わりたくないとも思っている)

2023/2/4-10

迷いの一週間。もやもやしている気分を押し流すように本を読み、服や物を捨てた。物を捨てると気分がいい。

正月に父親に尋問(父親は尋問のようなコミュニケーションしかできない)されたのがいまだに尾を引いている。
「給料はいくらなんだ」
「そんな給料でこれからどうするんだ」
「もう若くないんだから先のことを考えないと」
書き出してみると凡庸な問いだ。これ以外にもいろいろつまらないことを言われたが、そんなテンプレートな問いに嫌な気持ちにされたし、今も嫌な気持ちになっている。じゃああなたは今の人生、今のあなたの境遇になりたくてなったのですか、その状態になることを今の私の年齢のときに想定していましたか、と言いたかったが彼の人生のことは関係ないので黙っていた。父は若い頃からずっと政治活動やボランティアに情熱を注いでいたので、私のような生き方が(心の底から)理解できないのだと思う。尋問が彼なりの心配の方法であるということはわかるが、もう二度としゃべらないでほしいと思ってしまう。

近所の人が引っ越すというので棚をもらった。私の家にはほぼ家具がないのでありがたい…のか?私の部屋に知らない棚が闖入してきたので人見知りを発揮している。相手は棚だけど。なんかそわそわする。うまく付き合えるといいな。

今週読んだ本
📕エトガル・ケレット「あの素晴らしき七年」
 7年間に渡るイスラエル生活のエッセイ。隣国からミサイルが飛んでくるのが日常の世界の日常。以前ウエルベックの「服従」という本を読んだとき、登場人物の一人がイスラエルのビーチで遊んでいる様子に対して「ミサイルが飛んでくるのは日常なので、彼女が夏を満喫するのにミサイルが妨げになることはない」というような文章があったのを思い出した。我々の国も近所の国から頻繁にミサイルが飛んできているが明確な殺意がないぶん呑気にしている。
📕ユクスキュル/クリサート「生物から見た世界」
 五十嵐大介の「ディザインズ」というマンガが好きなので関連書籍として読んだ。出版当時に読んだら感動があったのかもしれないが、知っている内容が多かった。
📕矢内原伊作、宇佐見英治「対談 ジャコメッティについて」
 少し落ち込んでいたのでジャコメッティの話を読んだ。ジャコメッティの仕事の仕方はいつも私を励ましてくれる。
📕矢内原伊作「アルバム ジャコメッティ」
📕阿曽村邦昭, 奥平龍二等「ミャンマー:国家と民族」
 ミャンマーについて知りたいと思ったら読む本。800ページ近い大著なので気になる部分を拾い読みするのがいいだろう。
📕岸政彦「断片的なものの社会学」
 描かれないものの描かれない部分にこそ人間が現れている。大きな事件ではないことがらなのに覚えているようなこと。そういう忘れても構わないような、わざわざ話題にするようなことではないように思えることについて。
📕アーネスト・シャクルトン「エンデュアランス号漂流記」
 とても感動した。シャクルトン船長率いる二十八名の隊員は南極横断を目指して航海するが、彼らの乗ったエンデュアランス号は大陸に着く直前に流氷に砕かれ、沈んでしまう。一行は流氷に乗って南極海を漂流し、無人島に辿り着く。船長含む六名は、救命ボートで無人島から1500キロメートル先の捕鯨船の駐屯している島まで必死の航海をする。航海は成功し、捕鯨船の乗組員やチリの船の援助を受け、いくども失敗しながら仲間を残してきた無人島へ向かい、一人も欠けることなく救助した。実話。シャクルトン船長の観察力と決して諦めないタフな心と思いやり、隊員たちの協力とユーモア。こういう人が船長になるんだと思った。すごい手記だった。ページ数も多くないので読むことをお勧めします。

おいしい豆餅をいただいたので家にいる日はよく豆餅を食べている。子供の頃は豆が嫌いだった。煮豆は噛んだときに中に柔らかくて湿度を持った細かい砂が入っているようで、それが口の中に広がるようで嫌だったし、豆餅の中の豆は餅の粘り気の中に急につるつるした質感のものが現れるのが不快だった。口の中の質感を統一してほしかった。だから柿ピーのピーナツも不快だと思っていた。糖衣のチョコレートなんかはすごく好きで、甘い糖衣を舐めとったあとからチョコレート(私の好物だ)が出てくるというのが面白いし、舐めずにかじると歯触りのカリッとした音が顎まで伝わって嬉しかった。豆餅の中の豆もカリッとしていたら好きだったかもしれない。豆餅の豆はぐにゃりとしていて、食べられることはもう確定しているのに人間に食べられることに対して未練があるように思えて、「じゃあそんな豆は餅からほじくり出してよけてやりますよ、というか、そこまでするくらいなら食べたくないし」と思っていた。よもぎ餅は好きだった。よもぎ餅は全体が全てよもぎ餅だから。現在は豆とは和解、むしろ豆に対して強気の姿勢を持てている。炊いたり焼いたりお手のもの。

2月6日

「七回目のベルで受話器を取った君」という歌詞を聞いてから電話をかけるときベルは7回鳴らすことにしていて、べつにその歌が好きってわけじゃないけど。会社に電話するときのコール音は「トゥルル」と鳴るタイプじゃないから7回を計るのが難しい。

風邪を引いているから鼻が詰まっていて、匂いが判別できるかどうかを確認するために今日は一日在宅勤務だけど香水をつけた。わたあめみたいに甘い香りのなかにタバコの香りがして、あ、タバコのflavorじゃんね。じゃなくて。いつもは強すぎる香気を避けるために足首につけるのだけど、今日は家にいるし手首につけたら今までは感じなかったミントの香りがして、鼻が詰まってるせいなのか手首につけたせいなのか。先日図書館に行ったらもう二年外に出てませんという雰囲気のスタッフが受付の対応をしてくれて、ぺらぺらでブカブカのワイシャツの袖から見える手首の内側が死んだ魚の腹みたいに真っ白だったのを思い出した。

鼻が詰まっていて頭がぼーっとしていて何もする気起きないけどコーラ飲みたいアイス食べたいお風呂入るのめんどくさい。コーラもアイスもない。こんなとき錬金術が使えれば…。

2023/1/30-2/3

風邪を引いてしまってずっと家で仕事をしていた。家で仕事ができてありがたい。ありがたいってなんだ。仕事は別にしたいわけではないのだから…。ただこういうときすんなり家で仕事できるモードに移行できるっていうのは私の普段の立ち回り、治外法権的な立ち位置を確保しているその才能にあり、本当に私ってこういう環境づくり得意よね〜と思った。その代償として賃金が低いが、まあ多くは求めまい。

で、通勤の時間がまるまる浮いたのでとにかく本を読んだりタクティクスオウガリボーンをしたりしていた。喉が腫れて呼吸が苦しいが、頭は元気ですからね。

読みたい本リストに堀田善衛の「方丈記私記」が入っていたので読もうと思ったが、すぐ読めるのが全集しかなく、堀田善衛全集(13)を借りて読んだが面白い。全集って長くて大変なのよね〜と思ったけど、目当ての作品以外のものも読めて良かった。ものを書く人の多くがそうだと思うが、彼には起こった出来事を面白がる才能と、それを冷静な視点で思い返して記録する才能がある。居心地の良い読み口というのか、読んでいて嫌な気がしないし、どんな気分のときでも読みたい気がする。他の作品も読みたいと思って、「時空の端ッコ」という本を買った。白状しますけど今まで「ほったぜんえ」だと思ってたよ。「ほったよしえ」さんでした。

リーバイスのウェブのセールでブラウスとショートパンツ、アンクル丈のパンツ(って言う?くるぶし丈とは言わないよね)、オーバーオールを買った。届いて着てみたらどれも自分にぴったりでこれを着て早く出かけたい。春になってほしい。暖かい日差しの下でピクニックしてチクチクする芝生をごろごろ転がって笑いたい。という気持ちになった。冬でも着ますけど。

今週読んだ本
📕堀田善衛「方丈記私記」
📕堀田善衛「時空の端ッコ」
📕石田夏穂「我が友、スミス」
 20代後半の女性がボディビルにぐいぐいのめり込んでいく話。オタクが自分の好きなものを語るときのような早口を文章から感じ、楽しく気持ちよかった
📕宇佐美りん「推し、燃ゆ」
 宇佐美りんさんのことを知らなかったけどかなり好きかもしれない。自分が高校生だったときのことを思い出した。それでこういう熱ってあるよねというリアリティがあって、それで文章もかなり普段の会話に近いのだがこれを絵文字抜きで書いてるのがすごいと思う。宇佐美さんの他の作品も読みたい
📕アンソニー・ドーア「シェル・コレクター」
 新潮クレストブックシリーズはどれを買ってもいいですからね。この短編集には美しい自然がたくさん描かれているがそこには必ず人間がいて、人間と自然、人間と人間のコミュニケーションが描かれる。現実にはありえない超常現象もこんなに日常になるのだから小説は好きだ。

2023/1/23-27

昔働いてた会社の近くにあんかけラーメンの美味しいお店があって、あんかけだからなかなか冷めなくてどんどん増えるぐずぐずのラーメンを食べた経験からぐずぐずの麺も美味しく食べられるようになった。と思いながら茹でている途中で電話がかかってきたのでぐずぐずになってしまったラーメンを食べていた。

夕方から風が強く、ごうごうと音を立てていたので風速を検索したら8m/sだった。以前よく原付に乗っていた頃は5m/sもあればすごく寒くて、家を出る前に天気と風速を確認していたものだった。空を見たらうすはりのグラスの縁みたいな極めて細い月が見えて美しく、それが強い風に流された雲に隠されるまで眺めた。月の右下に強い光の星があって、きっと金星だろうと思ったけど自信がなかったので空にかざすと天体の名前がわかるアプリを入れた。金星だった。

美術館に行ったら素敵な服装の人がたくさんいて目を奪われた。自分の服装がみっともなく思え、家に帰ってそのとき着ていた服を処分した。美術展はとても良かった。熱心に模写をしているお爺さんがいて、私も鉛筆とノートを持ち歩こうと思った。

今週読んだ本、聞いた音楽とPodcast
📕三品輝起「雑貨の終わり」
📕趙根在、谺雄二「ライは長い旅だから」
 来月丸木美術館で趙根在の展示があるので忘れずに行こうと思っている

🎵Aidan Baker, Gareth Davis「Invisible Cities Ⅱ」
🎵穐吉敏子「Toshiko Akiyoshi Recital」

🎧YCAMぐるぐるラジオ

2023/1/16-21

例えば二次元の地図上で北を上とした場合、右が東で左が西ということがパッとわからない。なぜなら右と西、東と左がなんとなく似ているから。漢字の文字数も、ひらがなの文字数も同じで、母音も同じなんて。ほぼ同じと言っていいだろう。だから地図を見て東西左右を確認するとき、まず頭の中の「右と西」、「左と東」のセットを一度分解してから再度正しい組み合わせに構成する。こういうことが他の言葉でもままある。会話の途中で私が難しい顔をしていたら言葉の組み換えをしてるのかもしれない。友人にこの話をしたら「そういう感覚で捉えてる人って詩を書くのが向いてると思う」と言われたので詩を書いてみたが、彫刻と違ってすでに文字は形があり、形があるものの組み合わせなので、言いたいことを並べるとどうしても歪に感じてしまう。さらに我々は象形文字を使うから漢字の一つ一つに主張があるように感じる。たくさんの文字が並んでいる文章だと気にならないけど詩とか短歌、俳句くらいの量の文字数だと気になるかもしれない。人が書いたものはそんなに気にならないけど、自分が書いたものは直したくなる。残念ながら短文は向いてないかもな。

第一次からいものブームが去って第二次からいものブームが来た。からいとつらいが同じ漢字なの勘弁してほしい。今週の夕飯は農心の辛ラーメンの袋麺をよく食べた。これにしめじと大根(もしくはもやしか白菜、家にある野菜適当に)と鷹の爪、花椒を追加してぐつぐつ煮たあと最後に生卵をふたつ。

ガスコンロでコーヒーの焙煎をはじめて2ヶ月目。2kg焙煎してやっと感覚がわかってきた。追加で2.5kgの豆を買う。今回はケニア・マサイAA TOP、コロンビア・スプレモ、タンザニア・ンゴロンゴロ。ワインだったら同じ産地でも隣の畑だったら全然味違うじゃん、って思うけどコーヒーってずっと国名と品種名が紐づいてますよね。ワインの方が複雑な製造工程っていうのもあると思うけど。テロワールみたいな考え方は強くないっぽい。

久々に友達の店に行ったら様々な出会いがあり楽しく過ごした。人と会って会話したりハグしたりすることでしか摂取できない成分がある。愛知県人会の寮が東京にあって、女子寮は三河出身者と尾張出身者で建物が分かれているという話を聞いておもしろかった。男子は同じ建物らしい。

今週読んだ本、聞いた音楽とPodcast
📕ユリイカ 2005年10月号 特集「攻殻機動隊」
📕士郎正宗「攻殻機動隊1」
 思うところあり再読した。「暗号変換AI任せにしてるとネコにもネズミにも聞かれるわよ」初版1991年て
📕本の雑誌 2023年2月号 特集「本を買う!」
 こういうの毎月読んで書評欄に載ってる本とか買って日向ぼっこして本に囲まれて昼寝する老人になりたいよ

🎵坂本龍一「12」
🎵Elle Teresa
🎵Yellow Swans「Going Pleces」

🎧ヤーレンズのオールナイトニッポンポッドキャスト